離婚の種類

1 離婚の種類

 離婚には、①協議離婚、②調停離婚、③裁判離婚の3種類があります。

2 協議離婚

 夫婦間で離婚をすることについて合意ができる場合、市区町村役場に備え付けの離婚届出書に夫婦が所要事項を記載のうえ、押印し、証人2名が署名、押印し、市区町村役場に提出することで離婚することができます。この離婚を協議離婚といいます。ただし、夫婦の間に未成年の子がいる場合には、協議で一方を親権者と定めなければなりませんので(民法819条1項)、この協議が整わない限り、協議離婚をすることはできません。

3 調停離婚

  夫婦間で離婚をすることについて合意ができない場合で、夫婦の一方が離婚を希望する場合には、家庭裁判所に対し、原則として、調停の申立てを行う必要があります。

  調停では、非常勤の公務員として任命された調停委員2名が当事者双方から事情を聴き、当事者間に合意が成立するか否かを話し合います。通常、1か月から1か月半に1回程度の割合で調停の期日が開かれます。なお、調停委員の発言には強制力はありませんので、調停委員から言われたことに従わなければならないというわけではありません。

調停において、当事者間で合意が成立した場合には、調停成立により離婚が成立します。あとは、調停の申立人が調停成立の日から10日以内に、離婚調停調書の謄本を添えて、市区町村長に対し離婚届を提出します。

他方、調停において、当事者間で合意が成立しない場合、一定の場合を除き、調停が不成立として終了するか、調停を取り下げるかのいずれかになります。調停が成立しない場合において、夫婦の一方が離婚を希望する場合には、離婚訴訟を提起することになります。

4 裁判離婚

1)裁判離婚とは

  離婚の調停が不成立となった場合に、夫婦の一方が離婚を希望する場合には、裁判所に対し、離婚訴訟を提起する必要があります。通常、1か月に1回程度の割合で期日が開かれます。

  裁判で離婚が成立するためには、離婚原因が認められなければなりません(民法770条1項)。裁判においては、夫婦間に離婚原因が存在するか否かを審理します。裁判の途中で、当事者間において、離婚に関する合意が成立する場合には和解により離婚が成立しますが、和解が成立しない場合には、判決により判断がなされます。

 

2)離婚原因とは 

離婚原因としては、①配偶者の不貞行為、②配偶者の悪意の遺棄、③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき、④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、⑤婚姻を継続し難い重大な事由があります(民法770条1項)。

裁判離婚が認められるためには、原則として、①から⑤の事由が認められなければなりません。以下では、離婚原因について解説いたします。

(ア)不貞行為

不貞行為とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいいます。

不貞行為は、秘密に行われることが多く、立証は容易ではありません。証拠収集の作業としては、不貞行為の相手の写真、録音テープ、メールの保存、携帯電話の受信・着信歴の保存などが考えられます。

(イ)悪意の遺棄

  悪意の遺棄とは、正当な理由なく、同居・協力・扶養の義務を行わないことをいいます。相手を置き去りにする場合だけでなく、相手を追い出したり、たまたま出て行った相手を家に入れないことも含まれます。

(ウ)生死が3年以上不明

  生死が3年以上不明とは、3年以上生存も死亡も確認できない状態が引き続き続いていることをいいます。ただし、単に居所が分からないだけで生存が分かっている場合はこれに当たりません。

(エ)強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき 

強度の精神病とは、精神障害の程度が、夫婦が相互に協力する義務、特に、精神的生活に対する協力義務を十分に果たしえない程度に達している場合をいいます。

(オ)婚姻を継続し難い重大な事由 

  婚姻を継続し難い重大な事由とは、婚姻関係が破たんし、回復の見込みがないことを意味します。具体的にどのような事情をもって破たんを認定するかは、裁判官の裁量に委ねられていますが、具体例としては、暴行・虐待、重大な病気・障害がある場合、勤労意欲の欠如、犯罪行為・服役、性格の不一致などが挙げられます。

 

 これらの事由があれば婚姻関係の破たんが認められるわけで 

はなく、個別の事案ごとに婚姻関係の破たんが判断されます。     

 

 離婚原因についてご質問がある方は、個別に弁護士にご相談   

ください。